エセーニン 犬のうた

「天国はいらぬ。故郷が欲しい」、、、、ソビエトの農民私人エセーニン


犬のうた

 金色の麦のむしろが、ならんでる。

 穀物小屋の朝まだき。

 雌犬が七ひきの子を産んだ。

 赤毛の子犬を七ひき産んだ。

 一日じゅう、雌犬は仔犬をかわいがり、

 舌で、うぶ毛をなめていた。

 雌犬のあたたかいおなかの下で、

 雪がとけて流れていた。

 日が暮れて、にわとりが、

 とまりぎにねむるころ、

 おやじが、ふきげんな顔をして、

 七ひきごっそり袋にいれた。

 ふりつんだ雪のなか、

 おやじのあとから、雌犬は走った・・・

 来てみれば、まだ凍らない沼の水、

 いつまでもいつまでもふるえてた。

 おなかの汗をなめながら、

 力もぬけた帰り道。

 わら家の上に出た月が、

 仔犬のひとつに思われて。

 クンクン悲しく泣きながら、

 青い空を見ていると、

 しずかにすべる細い月。

 丘のむこうに見えなくなった。

 ふざけて石を投げられて、

 泣いてるように音もなく、

 雌犬の目からはらはらと、

 ころがりおちた金の星。



kappa's Ownd・F-kafkappaの日記

kappaのお部屋。 江東区と岩手を往復。 世間から弾き飛ばされながら生きてきた。 貧民窟でこそこそと暮らすバツイチのkappaです。 昔はF-Kafkappaと名乗っていました。 カフカではありませんが、彼と同じような絶望名人です。

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